テニスにおける熱中症対策

場合によっては死亡することもある「熱中症」.このページでは,非常に危険な熱中症への効果的な対策を取り上げます.

普段の練習や指導の際に気をつけるべき点を,テニスフォーラム理事長の梅林薫先生にお聞きしました.

以下を参考に,安全なテニス活動に励んでください!

 

熱中症対策

1、急な暑さは注意すること!

 熱中症の事故は、急に暑くなった時に発生しています。夏の初めや練習や合宿などの初日などは、要注意です。急に暑くなった時は、練習時間等を軽減し、暑さに慣れるまで、休息を多くとったり、軽い練習時間を心がけてください。

 

2、暑い時は、強い運動は避けましょう!

 熱中症の発生には、気温、湿度、風、輻射熱(直射日光など)が関係します。運動が強いほど、熱の発生も多くなり、熱中症の危険性も高くなります。暑い時は、運動の軽減、適度な休息、そして水分補給をしっかりと行うことが重要です。

 

3、熱中症の救急処置を知っておこう!

 熱中症は、予防が第一です。ただ、おかしい!と感じたときは、早めに休むことです。また緊急事態に対応できるよう、救急処置を知っておこう!

・熱失神・熱疲労:涼しい場所に運び、衣服を緩めて寝かせ、水分を補給すること。

・熱けいれん:生理食塩水(0.9%)を補給する。

・熱射病:身体を冷やしながら、早く病院へ!

 全身に水をかけたり、濡れタオルをあてて扇ぐなど。また、頸部、脇の下、鼠径部(大腿部の付け根)などの大きい血管などを冷やす方法も良い。

 

4、熱中症のことは、知っておこう!(十分な理解を!)

 熱中症とは、暑い環境で起こる障害の総称であり、スポーツでよく起こるのは、熱疲労、熱射病である。

・熱失神:皮膚血管の拡張で血圧が低下し、脳の血流も減少し、めまいや失神が生じること

・熱疲労:大量の汗をかき、水分補給が間に合わない場合、脱水症状による熱疲労の原因となる。脱力感、めまい、頭痛、吐き気などが起こる。

・熱けいれん:大量の汗により、水分補給のみで、血液の塩分濃度が低下したときに、脚、腕、腹部などの筋肉にけいれんが起こること。

・熱射病:体温上昇による中枢機能に異常を生じるもの。意識障害が特徴である。

 

5、水分と塩分をしっかりと摂取しよう!

 暑いときは、こまめに水分を補給しましょう!また、汗からは、水分といっしょに塩分も失われます。スポーツドリンクなどを利用して、0.1%〜0.2%程度の塩分を補給しましょう。水分補給の目安として、体重減少が2%を越えないように補給するとよいでしょう。(競技前250500ml、競技中5001000ml/1時間)気温の高いときには、15分〜30分ごとに飲水の休息をとり、1回200250mlを2〜4回に分けて摂取するとよいでしょう。

 

6、ウエアー(衣服)は薄着で、さわやかに!

 皮膚からの熱の出入りには、衣服が関係します。暑いときには軽装にし、素材も通気性や吸湿性のよいものにしましょう。テニスは、屋外が多いので、帽子を必ずかぶりましょう!

 

7、体調不良は事故のもと

 体調が悪いと体温調節機能も低下し、熱中症につながります。疲労、睡眠不足、発熱、かぜ、下痢など体調の悪いときには、無理に運動をしないことです。体調の自己管理をしっかりと行い、無理をしないように心がけましょう。

 

大阪体育大学 健康・スポーツマネジメント学科教授

トレーニング科学センター長

公益法人日本テニス協会 医・科学委員会副委員長

梅林 薫

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