3球目で決める!現在主流のサーブ・リターン戦術の解説(講師:浅越しのぶ 第20回テニスフォーラムより)

解説動画

講師の浅越しのぶ氏による練習方法の解説を、YouTube動画にしています。

こちらをまずは御覧ください。

 

なぜ「3球目」が注目されているのか?

エキスパートレベルの選手や指導者のなかにも、「テニス」がどのようなスポーツなのか把握していない人は多いものです。
テニスが「どのようにして得点が入っているのか?」を知ることで、浅越氏の伝えたいことが理解しやすくなります。

競技者レベルにおける、テニスの「得点(ポイント)」が入るまでにかかる打数は?

以下の図は、各競技者レベル別で、テニスの「得点(ポイント)」が入るまでにかかった打数を示しています。

この研究では、各競技レベルにおける大会の「準決勝・決勝」からデータを抽出しています。

データは、サーブ側が何回打った場面で得点が入ったかをカウントしたものです。
すなわち、
1打=サービスエース、リターンミス、リターンエース、ダブルフォルトによって得点が入った。
2打=リターンされたボールをサーバーが再度打った場面で得点が入った(再度サーバーが打ったボールを、リターン側がミスをした場合も含む)
3打=リターンされたボールをサーバーが再度打ち、それをさらにリターン側が返球し、それをサーバー側が打った場面で得点が入った(リターン側がミスした場合も含む)
4打以上=4打以上のラリー状態

データ元:中村友亮・菅勝揮・今西平・梅林薫『男子テニスシングルスにおけるサービスの有効性に関する研究』日本体育学会第58回大会(2007)

 

これを見れば分かるように、サーバーが「2打」をするまでに得点が決まっている場面が全体の半分以上。
また、競技者レベルが高まるにつれて2打以内での得点が増加していく傾向にあります。
トップレベルの試合である「全日本テニス選手権」や「ジャパン・オープン」では、8割が「2打」です。
逆に言えば、低い競技レベルの試合であれば、いわゆる「ラリー」の展開になりやすいとも言えます。

テレビやネットで取り上げられる「ダイジェスト映像」には、緊迫したラリーが採用されやすいので、
「上級者のテニスにはラリーが多い」
と勘違いされやすいのです。

このデータでいう「2打」とは、浅越氏がいう「3球目」のことです

「2打以内」、すなわち「3球目」までに得点を取ることの重要性が分かります。

浅越氏が解説しているように、この「3球目」までであれば、
「効果的なサーブをどこに打つか?」
「リターンをどこに返せたか?」
といった予測しやすい場面であるため、特にサーバーにとっては、リターンされたボールを攻撃的に処理することが大事になってきます。

競技レベルを上げたければ、3球目までに決める意識を持つことが重要

上級選手は、サービスゲームの場合は相手がリターンをどこに返すのかを予測し、そこに待ち伏せて強烈なショットを打とうとしています。
逆に、リターン側であれば、その裏をかいてサーバーに強い3球目(2打目)を打たせないようなボールを返す駆け引きをしています。
それが競技者レベルのテニスですから、その「3球目」の意識を持った練習が必要になるのです。

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