関節弛緩性テストでケガの危険度をチェックしましょう!

身体が柔らかい方がケガをしにくい.

だから柔軟性トレーニング(ストレッチング)を入念にやる.
という人は多いと思います.
しかし,スポーツ医科学的にはこれは当てはまらないことが多いようです.
実際,「ストレッチングをしてもケガの発生率は下がらない」という趣旨の研究報告は数多く,ともすると「柔軟性が高いことはケガの発生率を高める」という報告もあります.
 
身体の柔らかさとケガ発生の危険度は「柔らかければ柔らかいほど・・・」といった単純なものではなく,どうやら下図のように「柔らかすぎても,固すぎても危険」という関係にあるようです.
このような関係性で身体をとらえた場合,「柔軟性(身体の柔らかさ)」という表現だけでなく,「弛緩性(緩さ)」として理解したほうがいいのかもしれません.
この関節の弛緩性をチェックするための方法があります.
関節弛緩性テスト』と呼ばれるものです.
以下の項目にそれぞれ当てはまるかどうか,チェックしてみてください.
6番の脊柱と7番の股関節以外の項目は,片側が「当てはまった(できた)」場合は0.5点,両側が当てはまった場合は1点として計算します.6番と7番は,それができた場合には1点として計算します.
全部で7点満点になります.あなたは何点だったでしょうか?
3点以上であれば,関節弛緩性アリと判定します.
6〜7点の人は,かなり関節弛緩性が強いと考えられます.
こうした関節が緩い・不安定な人は,特にケガへの予防策に力を入れたほうが良いかもしれません.
シューズやサポーターといった用具,普段からの筋力トレーニングに気を配りましょう.
逆に,0点や1点だったという人は身体が固すぎるとも言えます.
こういう人は柔軟性トレーニングに気を配りましょう.

1.手関節 母指が前腕掌(てのひら)側につく

2.肘関節 肘過伸展15°以上である(肘を逆方向に曲げることができる)

3.肩関節 背中の後ろで指が組める(挙げた方の腕を測定側とする) 

4.膝関節 膝過伸展10°以上である(膝を逆方向に曲げることができる) 

5.足関節 膝屈曲位で足関節が45°以上背屈できる 

6.脊柱 前屈で掌(てのひら)が床につく 

7.股関節 立位股関節外旋で両脚のなす角が180°以上ある
引用:関節弛緩性テスト(中嶋ら 1984)