膝関節痛の予防とチェック方法

生涯スポーツであるテニスを楽しく続けていくためには、健康的な身体作りが必要です。

特に、いつの間にか痛くなり始める膝の痛みは中高齢者に頻発すると報告されており、テニスだけでなく日常生活にも悪影響を及ぼす可能性があります。
 
そこで今回は、まず膝の痛みチェック片脚での筋力チェックを各自で行って頂き、現状の確認と次回からの予防策に繋げて頂ければと思います。 



I. 膝の痛みチェック
~普段から膝の痛みはありますか?~

□ 動き始めに痛む

□ 立ったり、座ったりするときに痛む

□ 階段を昇り降りするときに痛む

□ 歩いているときに痛む

□ 膝が痛み、曲げ伸ばしがしにくい

→チェックが一つでも付いた人は軟骨が擦り減って膝に痛みや変形が起こる変形性膝関節症が進行している可能性があります。早めに整形外科のある医療機関を受診し、現状を把握すること、そしてそれぞれに合った対策を医師と共に考えていくことが重要です。


~膝のお皿を動かしたときに痛みはありますか?~ 


□ 椅子に座り、片脚の膝を伸ばした状態で力を抜く。そして膝蓋骨(膝のお皿)を前後左右、斜めに動かすと痛みが現れる

→膝蓋骨周辺の軟部組織(筋肉、筋膜、靭帯、腱など)が凝り固まっている可能性があります。膝を曲げ伸ばしして痛みがなければ膝蓋骨周辺や太ももの前の筋肉をストレッチ、マッサージなどが有効です

□ さらに膝蓋骨を押し付けた状態で前後左右、斜めに動かすと痛みが現れる

→膝蓋骨の裏の関節面が圧力によって損傷している可能性があります。医療機関やトレーニング指導の専門家に相談することをお薦めします 

 



II. 片脚での筋力チェック

「片脚スクワットチェック」の方法
※右の写真を参考のこと

1.両手を胸の前で交差させ、片脚で立つ


2.太ももの骨が床と平行になるように、できるだけ深い片脚スクワットを目指し、三回繰り返す


評価方法1

〜前方からの評価〜

□ つま先の向きに対して膝が内側に移動していないか?

→移動している場合、✔マーク
☑マークの人は、足首の関節が硬い、又はお尻の筋肉が弱い可能性があります


評価方法2

〜側方からの評価〜

□ 上体が地面に対して垂直、また膝の曲げ伸ばしが大きくないか?

→上記に当てはまる人は、太ももの後ろの筋肉やお尻の筋肉に比べ、太ももから膝の前にある筋肉を使いすぎている可能性がある

 

 
 
 
 
 

本稿の参考文献 
1. ひざ痛を治す: 正しく動かす元気に歩く, 宗田大, NHK出版, 2013
2. オーチスのキネシオロジー, Carol A Oatis, Round Flat. Inc., 2012
3. Powers CM., The influence of altered lower-extremity kinematics on patellofemoral joint dysfunction: a theoretical perspective, The Journal of orthopaedic and sports physical therapy. 2003;33(11):639–646.
4. Gray Cook, Lee Burto, Barb Hoogenboom, Pre-participation screening: the use of fundamental movements as an assessment of function – part 1, north american journal of sports physical therapy, 2006;1(2):62-72
5. Tomoko Okada, Kellie C. Huxel, and Thomas W. nesser, relationship between core stability, functional movement, and performance, Journal of Strength and Conditioning Research, 2011;25(1):252-261